たまご荘ものがたり①

たまご荘ものがたり①

緑の男、かわいいビルに出会う

あるところに、緑の男がおりました。「子どもたちのために明るい未来をつくりたい」と言いながら不動産屋を営んでおりました。

ある日のこと、ビルを持つひとが、やって来ました。「うちのビルが10年間空き家のままなのです。どうやって活用したらいいでしょう?いっしょに考えてください」

見に行ってみると、なんともかわいいレトロなビル。
商店街の中にあり、周りには小さな八百屋さんや時計屋さん、文房具屋さんに、小料理屋さんなどがあって、にぎやか過ぎず気取らない雰囲気がありました。
男はすっかり気に入って、「ぼくにビルを貸してください」とはりきって言いました。
「ここをまちの食堂にしたらどうだろう?みんなでごはんを作って食べて、子どもは宿題をやったり遊んだり、おとなはお酒を飲んでおしゃべりをして・・・」
緑の男の頭の中は、みるみる楽しい想像でいっぱいになりました。

緑の男、まちのまほうつかいに相談する

「はて、それじゃあどうやって作ればいいのだろう?」
緑の男は、まちのまほうつかいに相談しました。すると、まほうつかいは言いました。
「みんなで集まってお話しましょう。みんなの知恵を出し合えば、きっと子どもが元気に育つステキな場所ができますよ」

まちのまほうつかい、仲間を召還する。


果たして、まちの人たちは、集まる場所ができることに大賛成。
「まちを元気にするには、酒場だ!」
「まちを楽しくするには、劇場だ!」
「まちを素敵にするには、音楽ホールだ!」
「まちをより良くするには・・・」

さまざまな考えが出てきました。

「子どもたちだけでも来ることができて、おとながお酒の飲めて、毎日日替わりのコックさんが腕を振るう、たまには劇場や音楽ホールにもなってまちのひとたちが賑やかに交流するような食堂を作ろう!」ということになりました。

建築家のひとが、みんなが夢見ている食堂を、すてきな絵に描いてくれました。
それを見て、みんなの胸はワクワクしました。

さあ、夢のまちの食堂のはじまりです。

ところが、ビルの持ち主さんは困ったように言いました。

「え?食堂ですか・・・ここは割りと静かな通りだから、たくさんのひとがにぎやかに騒ぐようなことは、困るのですよ」

「なるほど、なるほど。それでは酒場やレストランはやめましょう。
まちの人たちが集まれば、きっと何か楽しいことが始まるはずだ」

緑の男はそう信じて、お金を払い、ビルの鍵を開けました。

それで、とりあえず、集まる場所ができました。
しかし、いったいだれが何をするのでしょう?
(つづく)

参考:千石たまご荘


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